10月3日(金)開催 完成披露上映会舞台挨拶レポート
映画『おいしい給食 炎の修学旅行』完成披露試写会が10月3日(金)都内劇場で開催され、主演の市原隼人をはじめ、武田玲奈、田澤泰粋、栄信、いとうまい子、六平直政、小堺一機、綾部真弥監督が上映後の舞台挨拶に登壇し、会場は大きな盛り上がりを見せた。
主演の市原は、舞台挨拶の冒頭、台本を手に一人で登壇し、主人公の甘利田先生になり切って、劇中のセリフを朗読。おなじみの「私は給食が好きだ」というセリフに始まり、メロンパン、せんべい汁などを食べる様子を身振り手振りや表情も交えながら熱演し、会場は熱狂に包まれる。
市原は劇場版第4弾となる本作のお披露目の日を迎えて「この日を楽しみに、本当に楽しみにしていて、今日をどんな気持ちで迎えていいかわかんなくなっちゃいました(笑)」と語り「2019年、本当に小さいところから始まって、この作品を6年続けさせていただけるのは、ひとえにこの作品を好いてくださるお客様のお気持ちの賜物です。本当にありがとうございます」と感謝を口にする。そして、本作について「青森、岩手に行かせていただいたんですが、本当に夢のようでした。まさか、青森でわんこそばを食べることになるなんて…。給食のために学校に通っている先生が、給食以外のものにこんなに振り回されるなんて、もう楽しくてたまりませんでした。本当に幸せです!」と充実した表情を見せる。
市原は、本作のプロモーションを兼ねて、全国80か所での舞台挨拶を行なう予定で、ここまで身を削って全国を回る理由について「気持ちです。呼んでいただければ、どこまでも時間が許す限りうかがわせていただきます。ビジネスと夢が混沌とする世界に我々は生きていますが、ビジネスをやらなければ作品はできません。だけども、泥水に手を突っ込んで『何としても夢を掴んでくるんだ!』という思いで、掴み上げた作品がこの『おいしい給食』という作品なんです。夢なんです!」と熱く本作への思いを語り、会場は温かい拍手に包まれた。
武田は、ドラマのseason1以来、6年ぶりに本作に復帰。武田の「ただいま戻りました」という言葉に、客席からは「おかえり!」という歓声が飛ぶ。武田さんは「6年ぶりにカムバックさせていただくことができて、嬉しい気持ちで撮影に臨みました。甘利田先生がパワーアップし過ぎていて(笑)、『こんなことになってるんだ!』と驚きました。久しぶりに甘利田先生を間近で見て、すごく楽しい気持ちになり、パワーもらいました」と笑顔を見せた。
市原は、御園先生役の武田との再会に「シリーズ続けてこなければ味わえない醍醐味をいただきました。まさか『season1』のヒロインが帰ってきてくださるとは夢にも思っていなかったです」と喜びを語る。映画の中でドラマ『season1』の映像も流れるが、市原は「懐かしいな…と。先のことなんて考えてなかったです」としみじみ。6年前のドラマ『season1』のクランクイン前の苦労や当時の試行錯誤の数々をふり返りつつ「(season1の映像の)かわいい武田玲奈ちゃんを見ながら『懐かしいな』と思い出させていただきました」としみじみと語っていた。
田澤は、撮影をふり返り「撮影前に綾部監督から『撮影期間の1か月を意味あるものにしてほしい』という言葉がありまして、(演じる)粒来ケンが甘利田先生に思いを伝えるシーンがあるんですが、悩んで難しいなと思いましたが、みなさんがお力を貸してくださり自分なりの演技できたかなと思います」と力強く語る。劇中で甘利田先生と粒来が卓球に興じるシーンがあるが、市原は「(卓球の)経験がなかったので、東京でプロの方に教えていただき、その後も泰枠の学校の近くまで行って、卓球上で長い日には2人で6時間くらい練習しました」とわずかなシーンに懸ける情熱と努力を明かし、会場は驚きに包まれた。


栄信は本作の撮影の思い出として「(自身が演じる)木戸先生が、ドラマシリーズと映画を通じて初めて、今回は甘利田先生が食事しているシーンで隣にいるんです」と告白。「これまで『おいしい給食』という作品の“根幹”に触れられないまま、いまに至っていたので、本当に嬉しかったです」と満面の笑みを浮かべて語った。
給食のおばさんの牧野を演じるいとうは、修学旅行中も学校で留守番ということで「どこにも行かせてもらえなくて、本編をみなさんと同じ気持ちで『うわ、楽しそう!』と見ていました」とちょっぴり寂しそうに語る。一方で「今回、本当に良いセリフがあって、ちょっとつらいことがあって、自信を失くしていたんですが『自信とは自分を信じること』というセリフを読んで、泣いちゃって…。『そっか、信じることなんだ!』と思わせてもらえて、良い作品だったと思います」と語っていた。
六平は、市原をはじめとする共演陣の演技を絶賛!「みんな、上手いのよ!ものすごくシュールない芝居もシリアスな芝居も、いつも『上手いなぁ…』って思って見てました。いま、日本で一番上手い役者が集まったんじゃない? とにかく見ていて飽きない現場でした」と惜しみない称賛の言葉を送る。
小堺も、いとうさんと同じく“留守番組”で「マネージャーから『またお話がありました』と聞いて『修学旅行だ!』と思ったら、行けなくて…。校長先生は行かないかね?行けると思っていたんですけど…」と残念そう。そして「寒い時期の撮影でしたが、僕は寒いと思ったことがなくて、なぜかと言うと座長が熱すぎるから! 『お芝居は相手を見てればできる』と教わったことがありましたが、いつも甘利田先生の顔を見てると、字だったセリフが感情になるんです。人生の先生に会ったような気がします。今日も控室で台本をずっと読んでて、なのに六平に話しかけられると『何ですか?』ってちゃんと返事するんです。サラウンド座長です! こんな方、最近はあまり見ないです」と手放しで市原を大絶賛していた。





綾部監督は、初めてドラマの続きではない、独立した劇場版として公開される本作について「初めての修学旅行で、学校の外に出るので、甘利田先生の外食をいかに面白く、楽しくするか? 僕自身も、若い時に東北を1か月くらい旅した経験があって、青森、岩手、函館というラインでロードムービーを撮るのが夢だったんです。まさか『おいしい給食』のみんなで旅行に行けるとは、本当に嬉しくて…。とにかくみんなが修学旅行を懐かしんだり、現役世代の人は楽しみになるような旅の映画にしたいなと思っていました」と思いを語った。
MCからは、早くも次の劇場版を期待する言葉が飛び出し、客席からも「待ってます!」という声と共に大きな拍手が…。綾部監督は熱い期待に感謝を述べつつ「大きなこと言えないですけど…。先々を考え過ぎず、我々はひとつひとつ、次の1本に懸けて全力投球してきました。この作品が公開されて、みなさまの声があれば、再び立ち上がって…次は南の方ですかね(笑)? 着実に一歩一歩、できることからやっていきたいと思います」と語り、会場は再び拍手と歓声に包まれた。
修学旅行がテーマの本作だが、現役学生の田澤は「来月、ちょうど(修学旅行で)九州に行きます」と明かし「食事が楽しみ」と笑顔で語る。大人たちが、次々と自身の修学旅行の思い出を語ったが、市原は「とにかく寝たくなくて、『朝まで起きてようぜ!』と言いつつ、気づいたら朝になってました(笑)。給食も同じで、誰かと一緒だと喜び倍に、悲しみは半分になります。修学旅行も道端がテーマパークのようで、全てが楽しかったです」とふり返った。そして、田澤に対し「友達と一緒にいるだけで幸せじゃないですか。『あの日のあの時、あの場所に戻りたいな』って思うのはそういう場所なので、精一杯楽しんで!」とアドバイスを送っていた。
舞台挨拶の最後に、綾部監督は「いつも撮影が終わって、生徒たちが卒業する時に、最後に伝えるメッセージがあって、それは僕自身、最初にこの業界に入った時に師匠に教わった言葉です。『こういうつもりで演奏した、こういうつもりで撮った、こういう気持ちで演じてみたというのは、なかなか映ってはくれない。映画はそんなに生易しいものじゃない。だが汗は映る』と。全てを尽くして全力で必死にスクリーンに刻みつける――それだけをモットーにつくってまいりました。たくさんの汗をかいてくれた数えきれないスタッフの思いが集って、こうして映画として完成しました。不器用ですが映画に誠実に向き合い、一人でも多くの方に見てもらいたいという思いでやってきました。今後ともぜひみなさんのお力添えをよろしくお願いします」と改めて本作に込めた主を吐露する。
市原も「この作品で伝えたいことは『season1』から変わらないです。甘利田先生って、いろんなものに振り回されて、滑稽な姿を見せて笑われながらも、『好きなものは好き』と胸を張り、負けを認める潔さを持っています。その姿を見て、ぜひ活力にしていただきたいです。この作品の舞台は1984年、昭和の時代から始まって、最新作では1991年、平成に入っていますが、いま日本人が忘れかけている古き良き心がたくさん入っています。愛がたくさん入っています。それを感じていただけたら幸せです。この作品の中で『御園先生はこんなもんですか?』というセリフがありますが、私はこのセリフがすごく好きです。ぜひみなさまにも大切にしていただきたいです。私自身、いつまでも問い続けたいセリフです。『いや、こんなもんじゃない。笑わせんじゃねぇ!』――私は内に秘めた魅力を全ての方が持っていると信じています。この作品が、そんな魅力とみなさんが出会うきっかけになることを願っています」と呼びかけ、会場は熱い拍手に包まれた。